2013年2月14日木曜日

アルカナハート回想録4

1はこちら


前回までで、ゲームの大まかな方向性が見えてきたけど、いまいち輪郭がぼんやりしているので、細部を積めていきます。このあたりで、ようやくユーザーの皆さんが目にする物が見えてきます。

一応、ヒット作を目指して企画を進めてはいたので、驚異的なヒット作には必ず入っている要素として言われている「性的魅力、勝負、知性、社会性」の4つの要素を入れ込んでみようとも思いましたが、そもそもゲームの時点で社会性は損なわれているわけで、格闘ゲームに限った範囲での「ヒット作の法則」を過去作から自分なりに考えてみました。

ざっと並べると、こんな感じ

1.格闘のコンセプトがしっかりしている
2.メインとなるゲームシステムがある
3.独自性を出すサブシステムがある
4.画期的な背景演出
5.最先端のグラフィック
6.魅力的な主人公
7.キャラクター数は20体以上

細分化すればもっと増えますが、大きくこの7つに大別し、過去作の特徴をエクセルで一覧にしてみると、やはりヒット作はこの要素を満たしているか、欠けていてもどこかが突出している。
そこで7つの要素をアルカナハートに当てはめていく作業をしました。順番に説明していきます。



1.格闘としてのコンセプト
格闘ゲームの歴史を見ていくと、最初は「世界中の格闘技の中から一番強い者を決める」という所から始まり、闘うキャラがモンスターになったりロボットになったりして行きました。でも、「○○の中で誰が最強か?」
という基本コンセプトだけは、しばらくブレる事なくタイトルが増えていきました。

そういう視点でみると、ワールドヒーローズと言うのはそうとう優れていると思うんですよ。なんといっても「歴史上で一番強いのは誰か?」ですから、楽しいに決まってるじゃないですか。そこへリョウコが出てきたあたりから、ちょっとおかしくなってしまい、シリーズ後半、アニメや漫画のキャラみたいなのばかりになったのが、一人のファンとしては残念でした。

で、この「最強」ネタが90年後半あたりから尽きてしまい、キャラクター性に頼るようになっていくわけですね。

アルカナハートですが「萌えキャラで一番強いのはだれか?」って言われても、いまいちピンと来ない。学園最強ならジャスティス学園等がやってますしね。そもそも萌えって闘う要素じゃないし、と言うことで格闘ゲームのコンセプトからはかなり外れちゃってるんですよね。

それを、なんとかごまかさないといけない。
これにはずいぶん悩みました。



2.メインとなるゲームシステム
スト2で2D格闘の基本システムは完成されてるので、以降のゲームでは、主にゲージに関わるシステム部分のことですね。飢狼2では超必殺が使えたり、カプエスではゲージ自体をセレクト出来たりと、スト2以降は主にゲージの使い方でゲームの差別化をしてきた。

ゲージに関しては、パッと思い付くようなアイデアは出尽くしていたので、カプエスにあったようなゲームシステム(ゲージやど特殊動作など)のセレクトではなくて、同一のゲームシステム上で、キャラ性能に変化を持たせられないかと考えました。

サードのスーパーアーツセレクトでは、超必殺技が選べますが、大きく立ち回りが変わるまでは行かないので、もっとキャラの立ち回り全体を変えてしまえるようなことは出来ないのかなと。

以前に作った数ある没企画の中に、いつか使いたかったアイデアがありました。
それは甲殻機動隊のような世界感のサイボーグ警察物の企画だったのですが、キャラ本体の他に「相棒ロボ」や「特殊能力」をつけることが出来ると言うものでした。

これまで、ナコルルの鷹と狼を付け替えると性能が変化したり、修羅と羅刹で2種類のキャラ性能が変化するといった物を作り続けていたので、この延長でもっと幅を広げられないか?と考えていたのが発想の元になっていました。

キャラ本体の性能の他に、もうひとつ別の性能を組み合わせることでキャラカスタマイズが出来るってことですね。

でも、ゲージとかシステムを選ぶのをやっちゃうと、シリーズが終わるんですよね。サムスピもそうでしたし、カプエスもそう。これ以降やることがなくなっちゃう。

さて、3以降は次の回に書くことにします。

続く